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홈 / BL / 仄暗い灯が迷子の二人を包むまで / 第31話 惟神の鬼神

第31話 惟神の鬼神

작가: 霞花怜
2025-06-25 18:00:51

 部屋の扉を開けると、護が自分の部屋に戻ろうとしている所だった。

 直桜の姿を見付けた護が、開きかけた扉を閉じた。

「すみません、起こしてしまいましたか?」

「いや、寝てなかったよ。……清人は、帰ったの?」

 事務所の電気が消えているように見える。

「ええ、本部に戻らなければならないからと。直桜を心配していましたよ」

「そっか」

 よく考えたら、清人と真面に言葉を交わさず帰してしまったかもしれない。

(俺、相当メンタルボロボロになって帰ってきたんだな)

 改めて、自分が酷い状態だったと自覚した。

「あの、直桜の部屋に行ってもいいですか?」

「え? うん。別にいいけど」

 心なしか、護の表情が暗いし、引き攣って見える。

 部屋に入ると、護に腕を引かれて、抱き締められた。

「護? どうした……」

「直桜にだけは、知られたくありませんでした。あの男とのこと」

 心臓の鼓動がゆっくりと速くなっていく。

 直桜を抱く護の指先が、小さく震えているのが分かった。

(もしかしたら俺以上に護の方が、打撃が大きいのかもしれない)

 直日神と話したお陰で、帰宅直後よりは気持ちが落ち着いた。何より、直日神が護の名前を憶えていた事実の方が、直桜にとっては驚きだったし大事だった。

(護が詰まらない過去と言い切った槐との関係なんか、小さく感じる。けどやっぱり護にとっては、違うんだ)

 槐の前で平気そうに振舞っていたのは、直桜の動揺を煽らないためだった。そう考えた

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